保険が適用される「保険診療」と、全額自己負担の「自由診療」。この二つの間に、もう一つ「先進医療」という制度があるのをご存知でしょうか。これは、将来的に保険適用を目指している高度な医療技術について、安全性などを確保しつつ、保険診療との併用を特別に認める制度です。いわば、保険適用への架け橋のような存在です。通常の医療では、保険診療と自由診療を同時に行う「混合診療」は原則として禁止されています。しかし、先進医療に指定された技術については、その技術料の部分は全額自己負担となりますが、それ以外の診察料、検査料、入院料といった基礎的な医療費には健康保険が適用されます。これにより、患者さんは費用負担をある程度抑えながら、先進的な医療を受けることができます。国としては、この制度を通じて、新しい医療技術の有効性や普及状況に関するデータを集め、将来的に保険適用とするかどうかを判断するための貴重な情報源とします。幹細胞を用いた再生医療の分野でも、この先進医療の枠組みで実施されている、あるいは過去に実施されていた治療法があります。例えば、過去には心筋梗塞後の心機能低下に対する自己骨髄幹細胞移植などが先進医療として行われ、その有効性などが評価されていました。患者として再生医療を検討する際に、もしその治療法が「先進医療」に指定されていれば、それは国が将来性を認めている有望な技術である一つの証と考えることができます。ただし、先進医療の対象となる疾患や実施できる医療機関は厳しく定められているため、誰でも受けられるわけではありません。