10月は気候も良く、体を動かすのが心地よい「スポーツの秋」です。しかし、ランニングや登山、スポーツを楽しむ中で多くの人が悩まされるのが膝の痛みではないでしょうか。特に、加齢などによって膝関節のクッションである軟骨がすり減る「変形性膝関節症」は、多くの人々の活動的な生活を妨げる原因となっています。これまでの治療は、ヒアルロン酸注射で痛みを和らげたり、湿布や痛み止めで症状を抑えたり、最終的には人工関節に置き換える手術が一般的でした。そんな中、手術以外の新しい選択肢として注目されているのが再生医療です。膝の再生医療で現在広く行われているのは、患者さん自身の血液や脂肪を利用する方法です。代表的なのが「PRP療法」で、これは自分の血液から、組織の修復を促す成長因子を豊富に含む血小板を高濃度に抽出し、膝関節に注射する治療法です。血小板が持つ治癒能力を活かして、関節内の炎症を抑え、痛みの軽減を目指します。さらに進んだ治療法として、自分のお腹などから採取した脂肪組織に含まれる「幹細胞」を培養して膝に注入する方法もあります。幹細胞は、軟骨細胞に変化する可能性があるだけでなく、強力な抗炎症作用や組織修復を促す物質を放出する「パラクライン効果」によって、膝関節全体の環境を改善し、痛みを根本から和らげることが期待されています。これらの治療は、まだ保険が適用されない自由診療であり、費用も高額ですが、自分の細胞を使うため安全性が高く、手術や入院が不要という大きなメリットがあります。10月の爽やかな風の中、再び軽やかに一歩を踏み出すために、再生医療という選択肢が、多くの膝の痛みに悩む人々にとっての新たな希望となりつつあります。