2025年10月
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10月の鏡に映る自分と美容再生医療
空気が乾燥し始め、夏のダメージが肌に現れやすい10月。ふと鏡を見たときに、増えたシワや失われたハリにため息をつく方も多いのではないでしょうか。こうした加齢による肌の変化に対し、化粧品やエステティックとは一線を画す、根本的なアプローチとして注目されているのが「美容再生医療」です。これは、再生医療の技術を美容分野に応用し、自分自身の細胞の力で肌を若返らせようという試みです。代表的な治療法に「線維芽細胞移植」があります。線維芽細胞とは、私たちの皮膚の奥深く(真皮)にあって、肌のハリや弾力を保つコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などを生み出している、いわば“美肌の工場”です。しかし、この工場は年齢とともに働きが衰え、数が減ってしまいます。そこで、自分の耳の後ろなど、紫外線ダメージの少ない部分から皮膚を少量採取し、そこから元気な線維芽細胞だけを取り出して、専門の施設で数週間かけて数万倍にまで培養します。そして、その活性化した自分自身の細胞を、シワやたるみが気になる部分に注射で戻してあげるのです。移植された線維芽細胞は、再びその場所で美肌成分を活発に作り出し始め、肌の内側から自然なハリと潤いを取り戻してくれるという仕組みです。他にも、自分の血液から成長因子を豊富に含むPRP(多血小板血漿)を抽出し、肌に注入することで、コラーゲンの産生を促す治療法もあります。これらの治療は、自分の細胞を使うためアレルギーなどのリスクが低く、ヒアルロン酸注入のように異物を入れるわけではないため、非常に自然な仕上がりが期待できるのが特徴です。10月の自分への投資として、未来の肌のために細胞レベルのケアを考える、そんな時代が訪れています。