雲一つない秋晴れが広がっていた10月のある日、私は医師から重い心不全であると告げられました。数年前の心筋梗塞が原因で、心臓のポンプ機能が著しく低下しているとのこと。薬での治療はすでに限界に近く、残された道は心臓移植しかないと。しかし、ドナーがいつ現れるかは分からない。それは、終わりが見えないトンネルに入ってしまったような、深い絶望でした。少し歩くだけで息が切れ、夜も横になって眠れない。当たり前だった日常が、指の間から砂のようにこぼれ落ちていく感覚。そんな日々の中で、主治医が「新しい治療の選択肢があります」と紹介してくれたのが、再生医療でした。自分の足の筋肉から取り出した「幹細胞」をシート状に培養し、それを弱った心臓に直接貼り付けるというのです。最初は、まるでSF映画の話を聞いているかのようでした。しかし、先生の説明を聞くうちに、それがすでに日本の医療現場で多くの患者を救っている現実の治療法なのだと分かりました。自分の細胞を使うから拒絶反応の心配が少ないこと、心臓移植のように何年も待つ必要がないこと。一つひとつの事実が、私の心に閉ざされていた希望の扉を少しずつ開いていきました。家族と何度も話し合い、私たちはこの再生医療に賭けてみることに決めました。もちろん、誰もが成功するわけではないというリスクも理解していました。それでも、何もしなければ確実に悪化していく未来を待つより、可能性がある限り前に進みたかったのです。あの10月の告知は、私の人生で最も暗い一日でした。しかし、それは同時に、再生医療という未来への光を見つけるための、始まりの一日でもあったのです。