知識
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数百万円も?幹細胞治療の費用とその理由
膝の再生医療の中でも、特に高い治療効果が期待されるのが、脂肪や滑膜などから採取した「幹細胞」を用いる治療法です。しかし、その効果への期待と比例して、費用もPRP療法などとは比較にならないほど高額になります。膝の幹細胞治療の費用は、1回の治療で100万円を超えることが一般的で、治療内容によっては200万円から300万円に達することもあります。なぜこれほどまでに高額になるのでしょうか。最大の理由は、細胞を体外で増やす「培養」というプロセスが必要になるためです。PRP療法が採血した血液をその場で加工して注射するのに対し、幹細胞治療では、まず患者さんの腹部などから少量(米粒数個程度)の脂肪組織を採取します。その組織を専門の細胞培養施設へ運び、無菌状態で組織の中から幹細胞だけを丁寧に取り出します。そして、治療に十分な数(数千万個から一億個以上)になるまで、数週間から一ヶ月半ほどかけて培養し、増殖させます。この培養には、国の厳しい基準をクリアした高度なクリーンルーム、高価な培養液、そして専門的な技術を持つ細胞培養の専門家が不可欠であり、その維持・管理に莫大なコストがかかります。また、培養した幹細胞が安全で高品質であることを保証するために、移植前には様々な厳格な品質検査が行われます。これらの培養・品質管理に関わる費用が、治療費の大部分を占めているのです。まさに、自分の膝のために、専門のチームが数週間かけてオーダーメイドの「細胞薬」を製造するようなイメージであり、その対価として高額な費用が必要となるわけです。